冷やし中華はいつはじまった? 中華の由来(6)

コラム

こんにちは、料理長の竹若です。

暑い季節になると食べたくなる料理がありますが、中華で言えば、冷やし中華がその代表の一つですね。

今回は、この冷やし中華がいつ「はじめました」になったのか調べてみました。

やはり日本起源の料理

これまで紹介してきた餃子や天津飯などと同じく、こちらも戦中・戦後の混乱期に誕生したようです。

その為、諸説あるようですが、1937年に宮城県の仙台市で今も営業している「龍亭」という中華料理店のメニュー「涼拌麺(リャンバンメン)」が有力な説の一つのようです。

実際のホームページを拝見すると、仙台発【これぞ冷やし中華・元祖の味】という記事があり、当時のの創業者四倉義雄氏が「暑い中でも食べられる中華料理を……」という思いで、夏バテ防止も考えて、今の野菜たっぷりスタイルを考案されたようです。

また、Wikipediaには、1929年に発刊された「料理相談」という本に冷蕎麦(ひやしそば)の哨戒があり、その中に、

中華そばを茹で、酢、砂糖、氷をまぶし、その上に叉焼、キュウリ、ラッキョウ、タケノコを乗せ、冷スープ、醤油、酢、コショウをかける

との記述があったり、1933年に東京の神保町「揚子江菜館」で今風の細切りの具が乗った五目涼拌麺が創作されたとされる記述もあります。他にも京都や関西でもその発祥とされているところがあるようです。

どちらにしても、それぐらいの時期に、同時にいろんな場所で中華料理の熱心な創作活動が行われ、その結果、今につながる「冷やし中華」が生まれたようです。 その熱い創作意欲には共感するものがあります。

海外の冷やし中華

本場の中華圏(中国・香港・台湾)では冷麺/涼麺(リャンメェン)や冷拌麺/涼拌麺(リャンパンメェン)という料理が存在するようです。

日本との違いは、麺が日本ほど冷たくなく、ピーナッツやすりゴマを使った濃厚なタレがかかっており、茹で鶏やキュウリなどが具材になっているようです。 大体のイメージは同じですが、酸っぱい醤油だれではなく、ゴマダレが主流のようですね。

ちなみに、冷やし中華が全国的に広まったきっかけは、1960年ごろに仙台の製麺会社「だい久製麺」が家庭用に発売した「元祖だい久 冷やし中華」が全国的にヒットしたことによるものです。同社が「冷やし中華」を商標フリーとしたおかげで、この名称が定着したようです。

「冷やし中華はじめました」のあの張り紙

やし中華と言えば、あの独特の張り紙が思い浮かびますが、これが登場したのは単純な理由で、季節料理である冷やし中華を、昔の人がメディアを使わずに手っ取り早く宣伝するのが、「張り紙」だったのでしょう。

そういえば、昔は「中華まん、はじめました」や「カレーうどんはじめました」なんていう張り紙も町中で見た覚えがあります。 原始的かつ効果的なPRと言えるでしょう。

何はともあれ、暑い時期に向けて、中華の先達たちが心血を注いで開発した冷やし中華は、現代でも人気メニューですね。

当店でも、さらに進化した冷やし中華「クラゲと夏野菜の棒棒鶏冷麺」をはじめました。また、5月31日まではYahoo!ショッピングでも、送料無料キャンペーンを行っていますので、どうぞよろしくお願いします。