こんにちは、料理長の竹若です。今回はテイクアウト専用の中華丼を開発しました。
今回は、その製造過程を厨房の中に入って製造工程を公開します。
まず、絶対に譲れないこだわりは「家庭に居ながら、カンタンに中華飯店の出来立ての味わいが楽しめる。」ことです。
それは、味はもちろん、歯ごたえや香り、盛付まで、全部に渡ってできる限り本格中華を再現したい。
そこで、今回のチルド・テイクアウト専用「香港風中華丼」は、特別に研究を重ねて作成しました。
その結果、3分30秒で「野菜がシャキシャキとした作り立ての味」が再現できるようになりました。
まず、一般的に、レンチン弁当にはこんな欠点があります。
作りたての時こそ食材がシャキッとしていて香りもいいが、容器に盛り付けて蓋をして帰るころには、
①蒸気が蓋に付きやがて料理の上に落ち、ご飯がふやける。
②何よりも余熱の働きで作りたての時の野菜の食感がなくなる。
③時間の経過とともに食味低下や腐敗のリスクが大きい。
そこで、新開発の中華丼は「ご家庭のレンジで作った時に最大限美味しくなる」ことをテーマに開発を進めました。
基本的な方針はこう決めました。
①各調理工程で素早く粗熱を取り、鮮度の維持を図る。
②レンジ加熱の分を逆算して各食材の火の通りを調整し、ご家庭でのレンジ加熱で最高の味と食感を可能にする。
③一般細菌が増殖ししやすい10 ℃~ 45℃の温度帯をを短時間で通過し、5℃以下(設定/2℃)で保存しているので、味や風味の劣化を極限まで防ぐ。
実際に試行錯誤し、編み出した製法が以下の通りです。ご家庭でレンチン料理を作る時のご参考になればと思います。同業者の方は読まないで下さい(笑)
Phase-1 白ご飯を炊いて素早く冷蔵庫に
1.白ご飯を炊く
2.素早く粗熱を取り、業務用の冷蔵庫で炊き立てご飯の鮮度を維持
Phase-2 具となる野菜を準備する
白菜 → 削ぎ切りにして、火の通りをよくする。
タケノコ → 穂先は厚めに根本は薄く切り、食感を揃える。
タマネギ → 同じ大きさに切り揃え、高温の油でサッと油通しをする。
白ネギ → 芯を除いて拍子切りにし、重なりをなくしておく。
エリンギ・ピーマン → 厚みや大きさを切り揃え、一瞬の油通しをする。
以上、一つひとつの食材にあった調理方法を施し、素早く作業を進めます。
Phase-3 野菜を絡める餡をつくり、具材を整える
1.鹿児島産もち豚を強火で炒め、スープと調味料で味を調えとろみをつける。火を止めてからホタテのほぐし身を加える。
2.厳密に温度管理を行い、この餡が80℃になった時に素早く野菜のパレットに合わせ、各々の食材に絡むように大きく混ぜる。
Phase-4 商品として二つの素材を合わせる
白ご飯をレンジ対応容器に定量を盛り、 中華丼の具を定量充填する。蓋をしてラベルを貼って出来上がり!
Phase-5 商品完成!
実際に食べて頂ければ分かりますが、過熱を操ってしっかりと火は通しつつ、シャキシャキの野菜を実現しました。
とにかく、カンタンにご家庭で中華飯店の味を再現できます。逆転の発想で最強のチルド中華丼が出来ました。
ぜひ、ご賞味ください! 兄弟の「ふわとろ天津飯」と「四川麻婆丼」もよろしくお願いします!