こんにちは、料理長の竹若です。
相変わらず暑い毎日ですが、気がつけばもうすぐ9月ですね。昨日は首相辞任のニュースがありましたが、同じような毎日も、やはりどんどん変わって行くようです。
そんな中、変わらないものもあります。それが今回ご紹介する酢豚」です。起源はもちろん中国で、広東料理という分野に属します。
広東料理の特徴は、一言で言えば「素材の持ち味を生かした料理」でしょうか。そのため燕の巣やフカヒレなどの様々な素材が用いられます。今回の酢豚も、豚肉の美味しさをうまく引き出した料理と言えるでしょう。おなじみの調理法ですが、豚肉の唐揚げと素揚げした野菜を甘酢餡に絡めて作ります。野菜は玉ねぎやピーマン、ニンジンなどが定番ですね。
日本にいつ頃入ってきたかは諸説ありますが、少なくとも昭和の初期ごろには日本の庶民に食べられていた記録があるので、相当古い日本の中華料理と言えるでしょう。
酢豚は日本での呼び名で、中国語では古老肉(グーラオロー)という呼び名で呼ばれていますが、名前に古いが入っているくらいなので本場でも古くからある料理のようです。中国語では古老は「古い」という意味のほか、料理では「甘酢餡かけ」という意味も持つので、正に酢豚ですね。ただ、古いという文字は余り料理に向かないのか「糖醋肉」(甘酢の肉)と呼ばれたりするようです。他にも古滷肉、古滷老肉、糖醋溜塊肉などとも呼ばれるそうです。
そんな歴史ある酢豚は、日本でもほぼ原型を保ったまま、食べられています。当店の「黒酢入り酢豚」も創業時からメニーにある一品で、店頭でも、お持ち帰りでも長らく愛されているロングセラー商品です。
当店では、繊維を確かめながら一つ一つ切り揃えた豚肉をカリッと素早く揚げて旨味を閉じ込め、黒酢と甘酢に絡めて仕上げます。豚の旨味と甘酢っぱい餡の組み合わせはやはり最高です。ぜひご賞味を(タイトルの画像です)。

余談になりますが、酢豚といえば「パイナップル論争」が有名ですね。酢豚にパイナップルはあり?なし? で議論されますが、反対派の方が多いでしょうか。当店の酢豚には入っていませんが、甘酸っぱさや柔らかさが増すので、料理法的にはどちらがいいとは言えません。やはり好みの問題ですね。
ちなみに諸説ありますが、パイナップルを入れたのは日本人では無く、中国人らしいです。何でも香港や上海など、欧米の影響が強い地域で、高級感を出そうとして選ばれたのが、甘酸っぱく(当日)高級食材だったパイナップルだったそうです。本当か嘘か分かりませんが、そう言えば、カレーにもパイナップルが入っている時がありますね。個人的には酢豚は「あり」でカレーは「なし」でしょうか(笑)
色々書きましたが、シンプルなだけに「酢豚」という料理は奥が深いです。最初に変わらない味と書きましたが、それは基本的な調理法のことで、実は作り手によって様々に味が変わります。豚肉の繊維を揃えることでも味は変わるぐらい繊細です。酢豚に限りませんが、私も定番メニューだからこそ、今後も研究を怠らず、味をどんどん進化させていきたいと思っています。
では、今日も美味しい料理を食べて良い一日を!